
「小学1年生になったけど、どのくらいできていればいい?」
「ひらがなや宿題についていけるか心配」
「園では気にならなかったのに、小学校に入ってから困ることが増えた」
小学1年生になると、子どもの生活は大きく変わります。
授業、給食、掃除、登下校、宿題、時間割、持ち物管理、新しい先生や友達。
園生活ではあまり求められなかったことを、自分で行う場面が一気に増えていきます。
そのため、小学校に入って初めて、
- 読み書きに時間がかかる
- 集団指示を聞き取るのが難しい
- 持ち物管理が苦手
- 友達関係で困りやすい
- 一日学校で過ごすとかなり疲れる
といった姿が見えてくることがあります。
私は児童発達支援管理責任者として子どもたちを見てきましたが、 小学1年生は「できる・できない」を確認するだけでなく、新しい学校生活の中でその子の得意・苦手がどう表れるかを見る時期 だと考えています。
園では困っていなかったことが、小学校に入って目立つようになることがあります。
それは急に何かができなくなったというより、環境が変わり、子どもに求められることが増えたことで、これまで見えにくかった得意・苦手が表れてきた可能性もあります。
この記事でわかること
- 小学1年生・7歳頃によく見られる発達の目安
- 読み書き・宿題・集団指示・友達関係を見るポイント
- 入学後に困りごとが見えやすくなる理由
- 学校と家庭・放課後で姿が違うときの見方
- 学校生活の困りごとを相談する目安
この記事の「できること」は、小学1年生ならすべてできなければならないという基準ではありません。
同じ7歳でも、発達や学校生活への慣れ方には個人差があります。できている項目の数ではなく、どこで困り、どんな手助けがあると参加しやすいかも合わせて見てください。
目次
- 小学1年生は「入学して初めて見えること」がある時期
- 小学1年生・7歳でできること一覧
- 学習面|読み書き・計算への取り組み方を見る
- 言葉|集団の中で聞く・伝える力が求められる
- 認知面|時間割や複数の指示への対応が増える
- 社会性|友達との関係が広がり複雑になる
- 生活面|持ち物と時間を自分で管理する場面が増える
- 園では気にならなかった困りごとが見えることもある
- 学校・家庭・放課後で姿が違うことも大切な情報
- 小学1年生で気になりやすい5つの悩み
- 小学1年生で大切にしたいのは「困り方」を知ること
- 「できない=発達障害」ではありません
- こんなときは相談を考えてみましょう
- まとめ
- 参考資料・出典
小学1年生は「入学して初めて見えること」がある時期
小学1年生は、幼児期から学童期へ移る大きな節目です。
学校では、
- 決められた時間に授業を受ける
- 先生の話を集団で聞く
- ノートやプリントを書く
- 時間割に合わせて行動する
- 給食や掃除をする
- 休み時間を自分たちで過ごす
- 宿題や翌日の準備をする
など、新しいことが一気に増えます。
ここで大切なのは、 小学校に入ったことで、それまでなかった苦手が突然生まれたとは限らない ということです。
たとえば園では、先生が近くで声をかけてくれていたため困らなかった子が、学校の一斉指示では動きにくくなることがあります。
自由に絵を描くことは好きでも、黒板を見ながら決められた文字をノートへ書き写すことには難しさが出ることもあります。
持ち物も、園バッグだけだった頃には目立たなかったのに、教科書・ノート・筆箱・連絡帳・プリントなどが増えることで管理の苦手さが見えてくることがあります。
小学1年生では、「できないことが増えた」のではなく、「新しい環境になったことで今まで見えなかった部分が見えてきた」と考えられることがあります。
小学1年生・7歳頃の生活と学びの目安
| 領域 | 小学1年生頃によく見られる姿 |
|---|---|
| 学習 | 学校でひらがなの読み書きや簡単な文章、足し算・引き算などを学び、宿題にも取り組む |
| 言葉 | 先生の話を聞く、自分の経験や気持ちを話す、分からないことを尋ねる |
| 認知 | 時間割や順番、予定を意識し、次にすることを考えようとする |
| 社会性 | 友達と遊ぶ、ルールを守ろうとする、集団に参加する |
| 生活 | ランドセル、宿題、持ち物、身支度などを少しずつ自分で管理する |
この表は「全部できているか」を確認するためのものではありません。
小学1年生では、同じ項目でも、
- 一人でできる
- 声をかければできる
- 見本があればできる
- 時間があればできる
- 疲れていると難しい
など、その日の状態や環境によっても変わります。
学習面|読み書き・計算への取り組み方を見る
小学1年生で学校で取り組むこと
- ひらがなを読む・書く
- 自分の名前を書く機会が増える
- 簡単な文章を読む
- 足し算や引き算に取り組む
- 先生の説明を聞いて課題へ取り組む
- 宿題をする
小学1年生になると、学校で読み書きや計算を学ぶ中で、子どもによる得意・苦手の違いが見えやすくなります。
ただし、
「何文字書けるか」
「何問計算できるか」
だけを見るのではなく、
- 書くことだけが特に難しくないか
- 読むことはできても内容理解はどうか
- 口頭なら答えられるのに書くと難しくならないか
- 時間がかかりすぎていないか
- 分からないときにどうしているか
も見ていきます。
「勉強が苦手」と一つにまとめず、どの部分でつまずいているかを見ることが支援につながります。
言葉|集団の中で聞く・伝える力が求められる
よく見られる姿
- 学校であったことを話す
- 自分の気持ちを言葉で伝える
- 先生の説明を聞く
- 質問されたことに答える
- 自分から質問する
- 困ったときに助けを求める
園でも言葉を使っていましたが、小学校になると 「集団の中で聞く」ことの難しさ が増えます。
たとえば、
- 先生がクラス全体へ話す
- 周囲に音や人の動きがある
- 一度に複数のことを伝えられる
- 話を聞いたあと自分で行動へ移す
といったことが求められます。
個別では話を理解できる子でも、一斉指示になると難しくなることがあります。
「話を聞けない」ではなく、個別なら分かるのか、短い指示なら分かるのか、周囲が静かなら分かるのかまで見ると、その子の困り方が分かりやすくなります。
認知面|時間割や複数の指示への対応が増える
よく見られる姿
- 時間割を確認する
- 次の授業を意識する
- 必要な教材を準備する
- 簡単なルールを理解する
- 予定の変更を理解する
- 順序を考えて行動する
小学校では、
「国語が終わったら教科書をしまって、次は算数を出す」
というように、複数の工程を自分で進める場面が増えます。
そのため、
- 説明を覚えておく
- 順番を考える
- 必要な物を探す
- 今の活動から気持ちを切り替える
といった力が同時に必要になります。
そこで止まってしまう場合も、「やる気がない」と見るのではなく、 どの工程で分からなくなったのか を確認します。
社会性|友達との関係が広がり複雑になる
よく見られる姿
- 友達と遊ぶ
- 順番を待つ
- ルールを守ろうとする
- 相手の話を聞く
- トラブル後に大人と振り返る
- 集団活動へ参加する
小学1年生では、休み時間など子ども同士で過ごす時間も増えていきます。
その分、
- 誰と遊ぶか
- 遊びへどう入るか
- 自分の希望をどう伝えるか
- 相手と意見が違ったらどうするか
といったことを自分たちで調整する必要が出てきます。
けんかやトラブルがあること自体だけではなく、 その後に大人の助けを借りながら関係を戻せるか も見ていきます。
生活面|持ち物と時間を自分で管理する場面が増える
よく見られる姿
- 朝の支度をする
- ランドセルの中身を確認する
- 時間割を見る
- 宿題を確認する
- プリントを家庭へ持ち帰る
- 学校で使った物を片づける
小学校へ入ると、持ち物管理の難易度は大きく上がります。
ランドセル、連絡帳、筆箱、教科書、ノート、プリント、給食袋、体育用品など、管理する物が増えるからです。
忘れ物がある場合も、
- 何を持って帰るか分からなかった
- 覚えていたけれど他のことに気を取られた
- 物の置き場所が分からなかった
- プリントの存在そのものを忘れた
など、理由はさまざまです。
「忘れ物が多い」で終わらず、どの部分で抜けているかを見ると対策を考えやすくなります。
園では気にならなかった困りごとが見えることもある
小学1年生になると、保護者から、
「園ではこんなこと言われなかったんです」
という話を聞くことがあります。
これは珍しいことではありません。
学校では園よりも、
- 長く座る
- 文字を書く
- 一斉指示を聞く
- 時間内に終える
- 自分で準備する
- 休み時間を自分で過ごす
といったことが増えます。
その結果、これまで問題にならなかった特性が、学校生活では困りごととして表れることがあります。
入学後に困りごとが見えたときは、「どうして急にできなくなったの?」ではなく、「学校では何が新しく求められているのだろう?」と考えてみると、原因を整理しやすくなります。
学校・家庭・放課後で姿が違うことも大切な情報
子どもの姿は、場所によって違うことがあります。
学校では先生から、
「特に問題ありません」
「よく頑張っています」
と言われているのに、家や放課後では泣いたり、怒ったりすることもあります。
私が放課後等デイサービスで見てきた中でも、学校では頑張れていて、放デイに来てから気持ちが崩れる子がいました。
こうしたときには、
「学校ではできているから問題ない」
とも、
「放課後に崩れるから学校がうまくいっていない」
とも、すぐには決めません。
学校・家庭・放課後それぞれで、どんな姿が出ているかを合わせて見ることが大切です。
私が関わった小学1年生でも、学校ではよく頑張れている一方、放課後には泣いたり、大きな声が出たり、スタッフの近くで過ごしたがる姿がありました。
このケースでは、学校での頑張りによる疲れも一つの可能性として考え、無理に活動を求めず休める時間を作りました。
ただ、このケースについては別の記事で、一人の子どもの経過や支援者側の考え方を詳しく紹介しています。
「できる子」なのに不安定になる理由|小学1年生の女の子の事例から考える
学校では問題なく過ごせているのに家庭や放課後で崩れる場合は、こちらも参考にしてください。
小学1年生で気になりやすい5つの悩み
1. ひらがなの読み書きが苦手
入学後は、読み書きの差が見えやすくなります。
見るポイントは、
- 読むことと書くことのどちらが難しいか
- 少しずつ覚えているか
- 書くことに非常に時間がかからないか
- 学習そのものを強く嫌がっていないか
などです。
2. 授業中に座っていられない
小学1年生は、長時間座って授業を受けること自体に慣れている途中です。
ただ「座れない」と見るだけではなく、
- 何時間目に多いか
- 好きな授業ではどうか
- 説明を聞く場面か作業する場面か
- 周囲の音や刺激が多くないか
などを見ると、理由を考えやすくなります。
3. 忘れ物が多い
小学1年生では珍しくありません。
時間割を見て、必要な物を考えて、準備すること自体が複数の工程を含むからです。
最初は、
- 大人と一緒に確認する
- 置き場所を固定する
- チェック表を使う
- 準備する時間を決める
などの方法も使えます。
4. 友達とのトラブルが増えた
小学1年生になると、子どもだけで関係を調整する場面が増えます。
トラブルのあとには、
- 何があったのか
- 本人はどう感じたのか
- 相手はどう感じたのか
- 次はどうすればよさそうか
を大人と一緒に振り返ります。
5. 宿題を嫌がる
宿題を嫌がる理由も一つではありません。
- 学校で疲れている
- 問題が難しい
- 書字が負担
- 量が多く感じる
- 遊びから切り替えにくい
などが考えられます。
「宿題をやりたくない子」と捉えるのではなく、「宿題のどこが負担なのか」を見ることが大切です。
小学1年生で大切にしたいのは「困り方」を知ること
小学1年生の記事で一番伝えたいのは、
その子が何をできるかだけでなく、どんなときに困るのかを知ること です。
たとえば「授業についていけない」としても、
- 先生の説明が長いと分からない
- 板書を書き写すのが追いつかない
- 話を聞きながら書くことが難しい
- 分からないときに質問できない
- 途中から疲れて集中が続かない
では、必要な支援が違います。
「友達とうまくいかない」場合も同じです。
- 遊びへ入る方法が分からない
- 負けると気持ちが崩れる
- 自分のルールを優先してしまう
- 相手の表情に気づきにくい
では、関わり方は変わります。
「○○ができない」という結果だけでなく、その手前で何が起きているかを見る。それが、小学1年生の困りごとを支援につなげる第一歩になります。
「できない=発達障害」ではありません
小学1年生で、
- 忘れ物が多い
- 字を書くのが苦手
- 落ち着きにくい
- 友達とけんかする
- 宿題を嫌がる
といった一つの特徴があっても、それだけで発達障害とは判断できません。
見るポイントは、
- どの場面で起きているか
- 本人がどのくらい困っているか
- 学校生活への影響はどの程度か
- 家庭と学校で姿が違うか
- 支援があるとどう変わるか
- 時間とともに変化しているか
などです。
診断名を家庭だけで判断する必要はありません。
気になる姿が続く場合は、「発達障害かどうか」だけでなく、「学校生活のどの場面で困っているのか」を学校や相談機関と整理してみてください。
こんなときは相談を考えてみましょう
次のような状態が続き、本人への負担が大きい場合は相談してみるのも一つです。
- 授業への参加が難しい状態が続く
- 先生の指示が理解しにくい
- 読み書きや計算で強い困りごとがある
- 友達とのトラブルが何度も続く
- 学校へ行くことへの強い不安がある
- 学校生活で非常に疲れている
- 家庭や放課後でも強い不安定さが続く
- 本人自身が「困っている」「学校がつらい」と話している
相談先としては、
- 担任の先生
- 特別支援教育コーディネーター
- スクールカウンセラー
- 教育相談機関
- 発達相談機関
- 利用している放課後等デイサービス
などがあります。
相談するときは、
「できません」
だけではなく、
- いつ起きるか
- どんな場面で起きるか
- どんな手助けがあるとできるか
- 学校と家庭ではどう違うか
まで伝えられると、支援を考える材料になります。
まとめ|小学1年生は「学校に入ったからこそ見える姿」を見る
小学1年生では、
- 読み書き
- 計算
- 一斉指示
- 友達関係
- 宿題
- 持ち物管理
など、新しい課題が一気に増えていきます。
その中で、園生活では目立たなかった得意・苦手が見えてくることがあります。
大切なのは、
「小学1年生なのに、これができない」
と見ることではありません。
「学校という新しい環境の中で、どこならできて、どこで困っているのか」を具体的に見ることが大切です。
学校では問題なく見えても、家庭では疲れていることがあります。
逆に、家庭では困っていても、学校ではうまくできていることがあります。
どちらか一方だけで判断するのではなく、 学校・家庭・放課後の姿を合わせて、その子の今を考える ことが大切です。
そして困りごとが見えてきたら、
「できない」
で終わらず、
「何が難しいのか」「どうするとできるのか」 を少しずつ探してみてください。
それが、小学1年生の学校生活を支えるための大切な手がかりになります。
参考資料・出典
※この記事は、児童発達支援管理責任者として小学1年生の子どもたちに関わってきた実務経験と、公的機関が公表している資料をもとに保護者向けに整理しています。発達や学校生活への適応には個人差があります。また、記事で紹介した一つの姿だけから発達障害などを判断することはできません。学校生活について心配な状態が続く場合は、学校、自治体の相談窓口、医療機関などへご相談ください。